2009年5月13日水曜日

文楽鑑賞@ひらかな盛衰記

短期能楽教室の柴田先生のコーディネイトで、国立劇場で文楽鑑賞に行ってきました。特別なお計らいで、バックステージツアーつきなのです。まず、舞台裏で実際の人形で頭や衣装の説明をいただきました。文楽の人形は、俳優さんや女優さんと一緒で、人形遣いの方がそれぞれ持っていらっしゃる人形を、都度衣装や化粧を変えているのだそうです。今回、ひらかな盛衰記の千鳥の役は、前半が腰元で後半が遊女の役ですが同じ人形を衣装と化粧を変えて登場させていると思われます。人形といえども、一人前なんですね。人形の着付けも、人形遣いの方が必ずご自分でされるそうです。

実際持たせていただきました、軽い方だと言われましたがそれでも十分な重さがありました。

その次は、床山さんの部屋へ。人形の髪は根元のほうが人毛で長い髪はヤクという動物の毛だそうです。人形の化粧が砥の粉で塗ってあり油を使えないので水と最後にセット用のスプレーをかけるとのこと。向かい側は人形の頭を作っている方。頭は檜でできているそうです。頭全体を作ったら、耳の前で半分に割ってくりぬき仕掛けを入れるそう。顔の仕掛けは主に男性のもので、女性は仕掛けを入れると表情がきつくなるので入れないのだそうです。

顔は、役の度に砥の粉で化粧をしていき上塗り。長い人形で180年選手とか。さすがに塗り重ねて行くと厚塗りになるので、どこかではいったん全部落としてさっぱりさせ、カツラを固定するために打った釘の穴だらけの部分は新しい木に置き換えるそうです。

女性の顔は、中間の顔で作りそれをしぐさや動きで笑ったり悲しんだりしているように見せるのだそうで、これは能のお面と一緒ですね。

人形遣いの方は専用の高下駄を履くのですが、その下駄がおもしろいことに草鞋を履いているんです。片足ごとに2足ずつ、これは特注の草鞋だそうです。

バックステージツアーが終わって、本番の「ひらかな盛衰記」を鑑賞。いやぁ、義太夫と三味線を堪能しました、というかそれに見入ってたら人形の方があまり見られず。文楽では「チャリ場」という、おもしろおかしく演じる場があり昔はこの時にお弁当を食べてたとか。能で言うと狂言の時間か?昔はチャリ場専門の太夫がいたそうなのですが、現代ではなかなかのチャリ場をできる太夫がいらっしゃらないとか。絶妙に力が抜けて楽しい場でした。

鑑賞が終わった後、そのチャリ場を演じられた豊竹英太夫(はなふさだゆう)さんを囲んでのお食事会。文楽をお話をたっぷり聞かせていただきました。そういえば、世界遺産の無形第一号には能が認定され、その次が歌舞伎、3番目が文楽だったと伺っています。日本が誇る芸術のことがちょっとでもいいので、はなせるようになりたいものだと思った夜でした。機会をいただいた柴田先生をはじめ関係者の方に心より感謝いたします。

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